テレワークの全盛期、Windows 10が遅い、重いと社内情シスに苦情が殺到する悲劇が起きているそうだ。大きな要因として、二昔前頃からセキュリティ保護の観点から企業に導入されたシンクラとかVDIとか言われているやつにあるとのこと。
VDIは、サーバ上の仮想マシンでOSやアプリケーションを動作させ、ユーザーの手元の端末にその画面だけを転送することで操作できるようにする仕組みです。
特にOSの起動処理は負荷が高いため、例えば朝9時の始業時間帯は特に動作が重たくなったりします。
正直なところ、VDIとWindows 10の相性はいまいちです。その理由の一つが、Windows 10がGUIに採用する「Fluent Design System」という仕組みです。「ウィンドウの背景がうっすらと見えるアレ」というと分かりやすいでしょうか。当然、このような描画処理は重たいものです。
要は、サーバ側に集中的に負荷がかかるような状況を極力避けること。
①Windowsの起動・終了
②サービスへのログイン
③画面の再描画
これらトップ3は30年以上変わらない。昔からの知識やスキルも役に立つ。
加えて今は、動画による情報発信&共有やWEB会議の時代。
VDIで動作するWindows 10でビデオ会議を実施すると、カメラ映像や共有画面の描画処理に加え、暗号化と復号の処理が仮想マシンに重くのしかかります。PCでWindows 10を動作させる際なら期待できるハードウェアアクセラレーションの助けは、VDIの場合ありません。よく「VDIで実施するビデオ会議が重いのは、ネットワークの問題」と思われがちですが、実はそうではないのです。
ビデオ会議の問題については、対処しているVDIもあります。「Citrix Cloud」は、「Zoom」や「Microsoft Teams」(Teams)の最適化モジュールを提供し、仮想マシンで処理させずに手元のシンクライアント端末にオフロードする(代わりに処理させる)ことが可能にはなっています。ただし、同機能を使うにはクライアントPC側の設定が必要で、レジストリを操作するため高度な知識が必要です。また、オフロードの機能を使うと逆に使えなくなる機能もあり、ユーザーが混乱する可能性があります。
そもそもVDIはテキストベースの処理を前提にしたものだから、ZOOMで会議をしたり、アニメ付きのスライドや動画を共有することはナンセンスとも言える。ただ一方でVDIもどんどん進化している。VDIを経由せずにオフロードして使用できるものも登場している。
パフォーマンスをチューニングするには、まずはシステム構造を図式化して、まずはセクションごとに切り分けてネックを特定する。次に、それらのセクションを組み合わせてフローとしてのパフォーマンスを評価する。最後にゴールレベルを設定した上でチューニング戦略を立てる。
セキュリティ同様、パフォーマンスにおいても『おかしな神話』が蔓延しがちである。だからこそ、リソースモニター(xxstat)やSnifferを使いこなしたい。
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