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美を意識することの大切さ

ツララ善や徳とは少し違った軸に、美というものがあります。
見た目の美しさ、感触、香りなどから感じる美しさ、さまざまです。
少々特化していますが、知覚や認識に比重を重きを置いた”機能美”は興味深いものがあります。
ドイツ製のカメラやイタリアのスポーツカー、ソニーのウォークマンなど工業製品に感じる美。機能だけではなく、それを使うときに感じる美です。品質だけではなく、そのもの自身の気品があふれ、使うものに満足を感じさせます。
一貫して言えることは、余計なものがないこと。極限まで無駄を省いている。また、確固たるポリシーを築いてそれを頑なに貫いていること。決して妥協しない。
善や徳に結びついているように思えるのは、決して偶然ではないはずです。
工業デザインだけではなく、他の分野にも応用できるはずです。
例えば、ITシステムの構成。シンプルが一番です。オーバーヘッドが少ないことはもちろん、トラブルリカバリーが素早くでき、維持管理・運用に携わる人たちに対して無駄な労力や困難を与えないで済みます。
オペレーションガイドや規約も同様。裏にあるコンセプトやポリシーをストレートに伝えるには、熟考を重ねたシンプルな記述こそ命です。
科学と美は極めて近い位置にあるようにしてなりません。
システムの「機能美」を考えたことがありますか?

 情報システムのユーザー・インタフェース(UI)のデザインを専門に手がけている技術者(デザイナ)から筆者が聞いた話である。
 そのデザイナが大学で講義を行うことになり,学生に協力してもらって,ある実験を行った。縦横の比率が異なる長方形の紙を何枚か生徒に見せ,「自分が最も美しいと思う長方形」を一つ選ぶように指示したのである。使った長方形は,縦横の比率が1:1から2:5までの10種類だった。
 その結果,一番多く手が上がったのは,5:8の比率の長方形だったという。5:8と言えば,古くから多くの人が美しいと感じる比率として知られる「黄金比」とほぼ同じだ。
 実験の被験者は情報システムを専攻する学生たち。このデザイナは「“理系”の学生たちのデザインに対する感性は,一般的な感性と大きくズレているかもしれないと思ったが,結果的には昔ながらの黄金比の長方形に人気が集まり,少しほっとした」と言う・・・

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