極端な核家族化や一部地域への人口集中がもたらした周辺地域の過疎化。
高齢化社会や人口減少には複数の要因が複雑に絡み合い、簡単には手を打つことができないうねりを持って、加速度を付けて進行しています。
人口減少を食い止める政策が取れていますが、これは本当に有用なのでしょうか?
”出産費用を全額国庫負担”なんて戦略としてはイマイチ効果が薄いように思います。
出産費用を補助したところで、養育費用に比べればゴマ粒みたいのもの。
それに、少子化が進んでいる理由を本当に分析しているとは思えません。
さて、こういった環境を無理に変えようとするのではなく、それを受け入れて発展的な未来を作り出そうという動きがあります。「小さな政府」ともいうべき「コンパクトシティ」です。
■人口減少下で期待される「豊かな社会」の実現
~先進モデルの構築に向けて~
JETRO Japan Economic Monthly, December 2005
※リンク先はPDF形式です
【要旨】
・ 日本は近く人口減少局面を迎えることがほぼ確実視されている。
・ 人口減少は、生産量の低下、貯蓄率の低下などをもらたす一方、インフラ構築コストの低下、環境
への負荷低減などの効果も見込まれる。
・ 政府は少子化対策を軸に数々の施策を打ち出してきたが、地方の一部では人口減少を前提とし
たシステム構築を進めているほか、民間でも人口減少をビジネスチャンスと捉えた動きがみられる。
・ 今後2000 年代半ばにかけて、日本に続き欧州やアジアでも人口減少局面を迎える公算が高まって
いるが、日本が技術力・文化力を活用し「豊かな社会」を実現できれば、世界に先駆けた先進モデ
ルとして、その存在感を高めることが可能となろう。
確かに”人口減少はビジネスチャンス”といえるでしょう。
実家をみているといつも思うのですが、大家族はコスト面でとても有利です。
何をするにも無駄がない。食品はたくさん買うから高くつくと思う方もいるかもしれませんが、その逆で、大きいからこそ安く変える。核家族の場合は消費量が少ないから購入費用は安く見えますが、結局は単価では大きな差がついています。大量購入による価格抑制の原理です。
住居も同様。家のつくりにオーバーヘッドが少なくなるし、修繕費や税金も抑えられる。人が多いと何かと楽しいですし、幸せのチャンスも多い。
大家族の理論をそのまま使わずにちょっとアレンジするのが「コンパクトシティ」構想です。
単価の見直し、サービスレベルの見直し(どんぶりから精緻へ)、サービス項目の見直し。
トータルサービスを実現するために何をすべきか? これがポイントになるのでしょう。
プロジェクトマネージメントにも共通していますよね。
さて、小さな都市について考えるには、道州制についてもう一度きちんと押さえておくのが良いと思います。わかりやすく読みやすい書籍を紹介します。
『はるみ知事の夢談義―なっとく!道州制』 高橋 はるみ 著
『道州制・連邦制―これまでの議論・これからの展望』 田村 秀 著
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