失業、フリーター、ニートという社会現象は、日本に限ったことではなく世界的に起こっている事象のようです。あまり詳しくは調べていませんでしたが、人間に関する問題ですから普遍的な部分もあるでしょう。キャリアデザインはそもそも欧米で研究されていたものを、ほとんどそのまま日本に取り入れようとしていることから、少なくとも日本と欧米は労働について近い考え方があることは否定できないでしょう。
そもそもニートを生み出したのは誰でしょうか? 社会構造、学校教育、企業、家庭、本人自身。キャリアの観点から立てばまぎれもない本人自身が生み出した核心的原因であり、それ以外は単なる外的要因でしかありません。つまり、外的要因を制約としてとらえて動かない本人自身になんらかの原因があるということになります。
では、その制約に対してなぜ動かないのか? 周囲が騒ぎ立てれば立てるほど、深層は闇の中に葬られてしまいます。さまざまなリサーチがありますが、本人の内的要因に踏み込んだものは皆無に等しく、この点でキャリアカウンセリングの価値と意味は大きなものになっていくでしょう。
企業からすればニートの採用はこの上もないリスクとなります。可能性を秘めている人間をカネで判断するような企業はケシカラン、という声もあるでしょうが、果たしてどうでしょうか。
企業は人間の成長を信じているからこそ、適した人材を採用しようと尽力するし、教育のために投資をしています。社員はそれに責任と義務、自らの成長欲求や夢を絡めながら応えていく。
さて、ニートは本当に成長欲求や夢を強く表現しているでしょうか? 自らに課せられた責任や義務を認識しているのでしょうか?
できないことの原因を自分ではなく、自分以外のところに置いている限り、道は開けません。まずは、もっと自分を信じて、自分のことを許せるような心をもてるような支援をすることが第一だと思っています。腐っている人間など存在しないと私は信じています。
■ニートを対象としたネットラジオ「オールニートニッポン」[公式サイト]
『オールニートニッポン』を始める背景
『オールニートニッポン』はニートやひきこもりなど、「生きづらさ」を抱える若者に送るインターネットラジオです。
今、ニート・ひきこもりの若者は200万人弱いるといわれ、その数はなんと日本中の大学・短大・専門学校の学生数にほぼ匹敵しています。(ちなみに不登校は13万人、フリーターは400万人*います。)
*杉田俊介『フリーターにとって「自由」とは何か』(人文書院)など参照
しかしながら、例えば日本全国で行われている若者支援プロジェクトの多くは、参加者や利用者を集めるのにとても苦労しているのが実情です。
なぜなのでしょう?
私たちは、その主な理由を4つ考えてみました。
■ニート向けネットラジオ「オールニートニッポン」放送へ[朝日新聞]
ニートなどの若者を応援するインターネットラジオ「オールニートニッポン」が27日夜から始まる。ニートや引きこもりの就業問題に取り組むNPO「コトバノアトリエ」が、イベントなどの情報を直接若者に届け、気軽に情報交換できるきっかけづくりを目指して企画した。毎週金曜日の夜7~9時に放送する。
■世界の「ニート」、2000万人・ILO推計[日経新聞]
「『ニート』と呼ばれる若者は世界で少なくとも2000万人」――国際労働機関(ILO)は29日、世界の若者の雇用情勢に関する報告書を発表、職探しをあきらめ、学校にも通っていない若年層の増加が各国共通の現象とする推計を明らかにした。ILOはこうした若者らが「労働市場に溶け込めず、社会に役に立たない存在になりかねない」と強い懸念を示している。
■日本含めた先進国の「ニート率」13%[読売新聞]
国際労働機関(ILO)が30日公表した若年層(15~24歳)の雇用情勢報告によると、日本、米国、欧州連合(EU)などの先進国では昨年、就職も進学もしない「ニート」の比率が13・4%に達したことが明らかになった。
■25歳未満の失業率、世界で13.5% 大人の3倍[朝日新聞]
国際労働機関(ILO)は29日、世界の若者(15~24歳)の雇用状況をまとめた調査報告書を発表した。この10年間に、職を必要としながらも仕事のない失業人口は7400万人から8500万人へと1000万人以上増加。失業率は13.5%に達し、大人(25歳以上)の失業率の3倍も高い。世界経済が拡大する一方で若者が労働市場から締め出されている現状は、将来の経済に悪影響をおよぼす、と報告書は指摘している。
■人事担当者の66%が「フリーター、NO!」…調査から[読売新聞]
フリーターの採用には企業の66・7%が消極的――。9月に行われた調査で、そんな厳しい現状が明らかになった。
人事戦略、雇用状況について調査研究を行う「パソナHR研究所」(東京)が、人事担当者243人を対象(有効回答138件)にしたアンケートでは、37・6%が「日本経済にとっても課題だが、実際の採用は難しい」と回答。次いで、「実務や経験のない人材の採用は難しい」が27・4%だった。「できれば採用したくない」の声も、1・7%あった。
「今後の採用を検討」は22・2%、「積極的に正社員として採用している」は11・1%と少数派で、フリーターの就職が依然苦しい現実が、浮き彫りとなった。
■パソナHR研究所:企業の人材採用アンケート[パソナ]
※PDF形式ファイルへのリンクです
積極的な人材採用を進めるものの、フリーター・主婦層の採用の壁は依然高い
シニア層や「国家公務員」の採用については前向き
雇用のミスマッチを埋める、研修制度や採用システムが課題
■失業手当、自主退職には制限も・厚労省[日経新聞]
厚生労働省は雇用保険制度の失業手当について、自主退職した人の給付を制限する方向で検討に入った。失業手当を受け取るために必要な保険料を納める期間を、自主退職の場合は最低で、現在の6カ月から12カ月に延ばす案が有力。短期間で自主退職して失業手当を受け取る方が有利との批判が出ていることに配慮する。
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