雇用形態の多様化、就労形態の自由化など耳にやさしい言葉遣いがされていますが、本当のところはどうなのでしょうか。”格差社会”というキーワードが並行しているところを鑑みると、どうもプラス面だけではなさそうです。
働く側が意志をもって選択しているかどうか。雇用側の都合に振り回されて、仕方なしに選択している状況であれば、あまりハッピーではないようです。
たとえば、専門スキルを極めるには非正社員ではむずかしい。もちろん、”派遣”などの形態を活用することでたくさんのチャンスを得て、専門スキルを身につけるための接点を持つことが可能です。しかし、はたしてどこまで専門スキルに近づけるかどうか、私は疑問です。
表面的な部分、つまり人手が必要な部分は外部人材(派遣人材)でまかない、重要でコアとなる部分は信頼の置ける正社員で固めて、組織の成長を図るのが”常識”ではないでしょうか。
目の前の利益や言葉のイメージだけで就労形態を選択すべきではありません。自分の将来、キャリアを見すえて考えるべきです。10年後の自分をイメージして、社会や業界の動向を予測しながら、自分の進路を決める。
自分の道は自分で切り開かなくてはなりません。
■「年長フリーター」滞留 35-44歳増加 「請負」甘受目立つ[asahi.com]
厚生労働省が8日発表した労働経済白書(06年版)は、大手製造業の工場で「請負」を含む外部労働力の活用が増えている実情を大きく取り上げ、「就職氷河期世代の『年長フリーター』」がそうした不安定な雇用に甘んじている実情を詳しく示した。この層が社会的に固定化されれば、少子化のさらなる進行や将来の社会的負担の増大など「負のシナリオ」が現実になりかねないと白書は警告している。
■日本経済:若年非正社員の前にある壁[三菱UFJ証券]
※PDF形式ファイルへのリンクです。
新卒労働市場が大きく改善する一方で、フリーターやニート等の若年層の雇用情勢はさほど改善していない。「新卒採用という企業慣行」や「相対的な職業能力の毀損」といった大きな壁があるためだ。新卒採用慣行を改める労働需要側、不況下でも職業の応力開発が可能な四度を整備する供給側、双方の改革が求められる。
■非正社員の賃金問題について[経済社会研究委員会]
※PDF形式ファイルへのリンクです。
非正社員の問題は、戦後の日本経済の中で歴史的に何回か出てきた問題であるということをまず振り返ってみます。非正社員の問題は、今は“格差・均衡”という角度での議論になっていますが、かつては“不安定就業”という問題で議論されていました。昭和30年の『労働白書』に「不完全就業者」という言葉が出てきます。ここでは非労働力人口のなかでの就業希望者や短時間就業者のなかでの追加就業希望者、このような就業圧力をさして「不完全就業者」と呼んでいます。当時、雇用者が74万人、自営業主が16万人増加しましたが、雇用者の約半分(39万人)が女子、自営業主の殆どが女子の内職でした。しかも雇用者の増加のうち約2割は日雇労働者、約3割が35時間未満の短時間就業者が占めており、ここに不完全就業者の問題を端的にみることができます。そのあと、昭和50年代の石油危機後の不況期において、大幅な雇用調整の実施をきっかけにして、パートタイムが「不安定就業」という言い方をされました。昭和50年代ぐらいまでは、パートタイム、すなわち“正規雇用ではないこと=不安定就業”であり、望ましい就業形態ではないという価値観がかなり強かったわけです。昭和50年代後半以降は、それがかなり大きく変化しました。今日では、その就業形態を是認して、そこでの格差あるいは均衡処遇を問いただしていくというスタンスに変わってきたと思います。つまり労働として望ましい望ましくないという価値的な概念ではなく、純粋に雇用の態様を表す言葉になっています。
■ワーキングパーソン調査2004[リクルートワークス研究所]
「自分の専門領域を決め」ており、また自分が周囲からどのようにみられているかという問いに対して、「他者から高く評価されていると思っている」という2つの条件を満たす人を『プロフェッショナル』と定義すると、その割合はワーキングパーソンのおよそ1割にのぼる。
プロフェッショナルに非正規社員が占める割合が高い領域は、「接客」(57.4%)、「販売」(53.4%)、「医療・看護、介護」(46.0%)などである。
■「多様な就業形態に対する支援のあり方研究会」第7回会合議事要旨[財務総合政策研究所]
現在の問題点として、①正社員偏重のまま非正規社員を増やしたことによる労働力の二極化、②採用減、離職増、非正規社員増によるチームワークなど組織資本の弱体化、③若年層社員減、OJTの機能低下、労働移動制限により企業特殊的能力しか育成されなかったことによるプロフェッショナル人材の不足、が挙げられる。OECDデータによる分析では、労働力の二極化や労働移動制限により企業特殊的能力のみを重視したことによるプロフェッショナル人材の不足は1人当たりGDPを押し下げる効果があり大きな問題である。
■定年廃止は若手抜擢のため[日経ビジネス]
「定年廃止」で雇用を担保しながら、実力本位の賃金体系にする独自の手法。評価がはっきり出るため、残る社員と去る社員が色分けされるかもしれない。一連の改革に「売り上げ至上主義で、長時間労働などの問題が生じている」と、労働組合を結成する動きも起きている。新たな試みは、会社と社員のニーズが果たして一致するかを見極める格好の例と言える。
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