IT人材が100万人不足する、などの報道があって久しい。ここでの誤りはIT人材と大きく人くくりにしてしまい、問題の本質を隠してしまったこと。今回また、IPAからIT人材市場動向が発表された。
ではどんな人材が不足するのか?
現場を知らずになんとなくとらえると、コーディングをする人、業務ニーズ(業務的な仕様)から詳細仕様に落としていく人が不足すると考えられがちたが、そこの不足は補えているようだ。
では、どんな人材が欲しいのか? 一言で言えば、こういったテクニカルスキルよりも、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルを発揮できる人材だ。
ヒューマンスキルとは風通しの良いチームワークを作るためのスキルでもあるが、具体的には異を唱えることができる、相手の立場に立ってものが言える、目的を常に失わずに行動できる、などが挙げられる。
コンセプチュアルスキルとは概念化能力であり、具体的には、抽象的な概念を具体化する、複雑に絡みあった事象を整理して一定の法則を見いだす、矛盾する要求を公平・冷静に受け止めて双方にとって最善の策を見出す、などが挙げられる。
要は、前向きに建設的なリーダーシップを発揮できるひと、大小問わずプロジェクトを取りまとめることができるPMが
不足しているということ。
こうしてみると、育成のポイントが明確になってくる。情報処理技術者試験ではカバーできない部分がたくさんあるし、教科書だけでは育てられない要素もたくさんある。
しっかりと見極めて人材を育成しなければならない。また、多重請負構造がIT業界の特徴である。それぞれのステージに応じて必要となる育成ポイントを明確にして人材開発することが、個を活かすことに繋がることはもちろん、組織の業績を押し上げて強い企業になっていくことに繋がることは確実である。
だからこそ、『どうやって人材育成すべきか』も大切ではあるが、それにも増して、『何を目指して育成するか』『ビジョンに照らして具体的な育成ポイントはなにか』を考えること
が求められている。
■http://www.ipa.go.jp/about/press/20090226.html[IPA]
IPAでは、2007年度に実施しました「IT人材市場動向予備調査」の結果を踏まえ、IT人材の育成施策検討に向けた基礎情報を収集するための調査として「IT人材市場動向調査」を実施しました。
本調査は、日本国におけるIT人材の職種やレベルなどの偏在状況やオフショア活用状況および産学におけるIT教育の状況などの調査を定点的、継続的に行い、今後のIT人材育成施策の立案などの基礎資料とすることを目的として実施したものです。
本調査報告は、「調査報告概要版」として4回に分けて公開します。また、調査報告完全版は「IT人材白書2009」として5月中旬ごろを目途に出版する予定です。
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