金融系ITプロフェッショナルはなかなか存在しません。
業務知識はもちろんのこと、マナーや社会常識、人としての品位が必要とされるからです。
もちろん、PGや初級・中級SEクラスの人たちはここまでは要求されません。せめて、自分の開発担当する部分の業務知識があればやっていけます。しかし、今、本当に必要な人材はこのクラスではないのです。
PGや初級・中級SEクラスはいざとなればソース自動生成(まだ半自動生成ですが)や中国のオフショアに依頼してしまえばいいことです。コストダウンも図れますし、人材確保は国内よりもかなり有利です。
上級SEあるいはプロジェクトリーダークラスが不足しているのです。
金融系システム部門社員は、高学歴のエリート集団。女性も活躍しています。このような人たちとしっかりと対応するには、上品でスマートなコミュニケーションに加えて、社会常識、マナーが求められるのは当然のことと言えます。
金融システムを組み上げるのに必要となるITスキルはあまり高くありません。科学技術計算や多様な例外事項が要求される物流や製造と比べれてみれば一目瞭然です。金利計算、生存率とリンクした予想配当率や返戻金計算はAPIやサブルーチンとして用意してありますので、正しく使えばまったく問題ありません。
カレンダや発生パターンを網羅した検証を行うことが大切です。データの取り扱いには細心の注意を払い、テストケースをしっかりとこなし、エビデンスを整理してチェックしたのち再鑑に回す。統合テストやシステムテスト、移行確認テスト、リリース最終チェックなどフェーズが進むにつれて、コミュニケーションの占める位置づけが重みを増してきます。
上流を仕切れる人材にはしっかりとお金をだすのが金融系システム部門です。
2次請負以下に入ってしまうとこの事実がまったくわかりませんので、いたずらに人材不足論を掻き立てます。正しく状況を判断しなければなりません。
人材育成の重要性を改めて感じます。
いつまでも中級SE以下のクラスばかりを気にしているSIerは間違いなく淘汰されていきます。
■金融機関の投資回復は,ITサービス業界を救うか[日経ソリューションビジネス]
日本経済の力強い回復を背景に,ITサービス業界が久しぶりの人不足に陥っている。特に顧客の引き合いが強く,大量の技術者の供給を求めているのが金融業界だ。
既に,金融機関がソリューションプロバイダ(システム・インテグレータ)の優秀な技術者を囲い込む動きも始まっているという。特定の技術者を指名して,プロジェクトがまだ始まる前の仕事がない段階から,ソリューションプロバイダと技術者を派遣させる契約を結んでしまうのだ。技術者を少々遊ばせてでも「拘束」することで,他社のプロジェクトに奪われないようにする手法であり,「期間契約」とも呼ばれる。
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