百貨店に求められていたことは何か? つまり、百貨店のブランドとは何か? が大きく変化し続けている。
ここでブランドとは何か? について押さえておきたい。ブランドとは、一言で言えば店に対する「信頼感や価値観の定義づけ」である。何のためにその百貨店は存在しているのか、何を目指しているのか、何を実現したいのか? である。
そのためにやらなくてはならないことがある。
・自らのビジョンを明確にしておくこと
・環境を正しく読み取り、変化にも着目すること
・周囲からの有言無言の期待を感じ取り、盛り込むこと
・そして、常に思考や行動の膠着を点検し、変化していくこと
これらすべてに手をつけていくことが、伝統やのれんを守ることに繋がる。
昔から変わらないものは、根底に流れる思想やコンセプトが変わらないだけであって、時には大きな変化を伴いながら周囲の期待を取り込んで前進をしている。変わらない、とは目で見えるところが”変わらない”ではない。ブランドの部分を変えないことである。
外部環境や周囲の期待に目を向けると、ときには自分の存在意義が揺らぐほどの不安定さを感じることがある。場合によっては、価値観を変えなくてはならないほどのインパクトもあるかもしれない。
その際、捨てるものと残すものを苦渋の選択をしながら選り分けることになるであろう。間違っても、すべてを取るだけはやめたほうが良い。何をしたいのかがわからなくなる。要は、ビジョンが伝わらない。
このことは、プライベートな部分でも同じことが言える。パーソナルブランディングである。最初の文章にある”百貨店”を”自分”に置き換えるだけで、あとはすべて一緒。これがキャリアデザインにつながる。
■地方百貨店の秘密を探る ~なぜ、地域一番店は地方百貨店なのか?
[大和総研] ※PDF形式ファイルへのリンクです
地方都市では地域一番店は、地元の老舗百貨店であることが多い。三越、伊勢丹、高島屋、大丸、松坂屋、そごう、西武百貨店など大手百貨店の地方店が存在する地域においてでもだ。普通に考えると東京や大阪の大都会で華やかな店舗を経営している大手百貨店の方が優れた経営を行っているはずと思えるが、なぜ、なんだろうか?
地方百貨店はサバイバルの時代を迎えているが、多くの地方百貨店にとって、自社の経営努力だけでこの難局を乗り切るのは困難そうである。しかし、地元の街の魅力を高めることができれば、地方百貨店の発展の可能性はあると考える。
■小売業の現状と課題-小売業界のフロンティア
[日本貿易会 月報] ※PDF形式ファイルへのリンクです
サービス産業は、日本経済の約7割を占める(GDP(国内総生産)、雇用ベース)非常に重要な産業であり、その発展は日本経済の持続的成長にとって極めて重要で、製造業と並ぶ「もう一つの成長エンジン」とする必要がある。しかし、日本国内の消費市場は、今後、少子高齢化に伴う人口減少などの影響を大きく受けることが予想され、とりわけ消費者を顧客とする小売業(百貨店、スーパー、コンビニエンスストアなど)は、構造的な対応が求められることが想定される。一方、海外市場に目を向けると、2008年の世界的な景気減退の影響はあるものの、中国をはじめとするアジア地域は着実な経済成長を遂げている。
日本の小売業がアジアなどの新興国市場と共に成長するためには、どのようなビジネスモデルが求められるのだろうか。
経済産業省では、2008年度にグローバル・サービス研究会を開催し、その下に設置した分科会、消費財流通ワーキンググループでは、小売業などが進めるアジアなどの新興国市場への国際展開の意義と課題を把握し、企業と政府それぞれに求められる対応について議論を進めてきた。本ワーキンググループの取りまとめを紹介したい。
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