現代は格差社会と言われています。もう一歩進めて、二極化に向かい階級社会だとも言われています。その中でも賃金は話題になりやすいのか、目に付きやすい記事です。
働き方が多様化する中、単なる金額だけを比較するのはナンセンスでしょうが、正社員とパートにおいて大きな格差があるのは事実です。また、業界・業種によっても大きく偏っていることも確かです。
一方では、多くの外国人労働者を受け入れざるを得ない状況もあります。日本人が嫌って就かない職種には、日本との賃金格差を狙って入国してきます。企業側から考えると、質の良い労働力を確保できることは貴重な機会です。日本では低賃金に分類されたとしても、母国では高収入につながるのですから、双方は利益を得ています。
業種による著しい偏りは、不公平である部分については改善する必要があるでしょう。たとえば多重下請構造による搾取の図式はメスをいれるべきです。今のIT業界がまさにその状態にあります。また、不正な残業未払いなどにはペナルティを課して撲滅すべきでしょう。
では働く側の人はどうなのか。グローバル化、多様化が進む中、ますます賃金格差は広がると考えても良さそうです。高い賃金を受けとるには、外国人労働者が行っているように、自己の市場価値を上げるための具体的・実践的な努力を継続することが極めて重要になるでしょう。
あたり前のことですが、何も考えずに組織に組み込まれて周りに流されているような状況では、いまや危ない状況だということでしょうか。
■2005年度「能力・仕事別賃金実態調査」結果概要[財団法人社会経済生産性本部]
主な能力等級別の月例賃金の水準と格差は次の通り(概要は3~4 頁参照)
「部長クラス」の平均賃金 55.9 万円 〔最高額平均 62.8 万円〕
(1000 人以上の大企業 69.5 万円、100 人未満の小企業 51.6 万円 格差約18 万円)
「課長クラス」の平均賃金 43.1 万円 〔最高額平均 48.9 万円〕
(1000 人以上の大企業 53.3 万円、100 人未満の小企業 39.2 万円 格差約14 万円)
■均等待遇の国際比較とパート活用の鍵[労働政策研究・研修機構]
※PDF形式ファイルへのリンクです
産業構造、社会構造が柔軟な働き方としてのパートを必要とし、労働供給側で
も、女性を中心として柔軟な形で働かざるをえない層が現れる。パートタイム労働者が増え
れば増えるほど社会のニーズは多様化し、人権意識が高まり、フルタイム労働者とパートタ
イム労働者との間に雇用上の差別、処遇格差を問題視する意識が次第に芽生えはじめた。こ
こまでが世界にある程度共通して見られた現象である。
■30歳未満の若年層で所得格差が拡大[連合総研]
※PDF形式ファイルへのリンクです
平成16年と平成11年を比較してみると、30歳以上ではジニ係数は大きく変化していないが、
30歳未満ではこの5年間で顕著に上昇している。こうした若年層での所得格差の拡大傾向は、
景気低迷による労働需給悪化に伴う非正規雇用の増大も一因と考えられる。こうした傾向が
今後も持続するのか、また、30歳台にも波及していくのかが注目される。
■ユーザビリティ専門家の収入はいかほど?[usabikity.gr.jp]
ユーザビリティ専門家の収入は、2000年頃のドットコム・バブル時代にはかなり変動したものの、以後、徐々に安定してきたようだ。1998年以来、多くの調査が行われてきたが、その実像はデータや知見を横断的に検証してみなければ見えてこない。
活動拠点を米国とするユーザビリティ専門家のうち、以下の2タイプに分類される方々の平均年俸をグラフにして以下に示す。
* 5年の経験を積んだユーザビリティ専門家
* 実務経験を持たない初心者
■パートと正社員の賃金格差是正など検討へ 厚労省 [朝日新聞]
厚生労働省は10日、来年の通常国会で改正を目指しているパート労働法で、正社員との賃金格差の是正と正社員への転換制度の導入などを検討対象にしていく考えを労働政策審議会に示した。しかし、規制強化だとする経営側、パート社員全体の底上げを求める労働側双方とも、考え方に隔たりは大きく、年末の取りまとめに向け調整は難航しそうだ。
■パートの3割超、サービス残業 職場で重要な戦力に[朝日新聞]
パートタイマーの3割以上が、いくら残業をしても賃金に反映されないサービス残業をこなしていることが、民間最大の産業別労組「UIゼンセン同盟」の調べで分かった。パートは時給で賃金が決まるためサービス残業は発生しにくいとされていた。だが、多くの職場でパートが重要な戦力となる中で、違法な不払い労働が正社員だけでなくパートにも広がっている実態が浮かび上がった。
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