SEの「設計スキル」は低下しているのか[日経ITプロフェッショナル]
「SEの設計スキルが低下したのは“空白の10年間”のせいですよ」—。先日,大手ITベンダーの幹部に取材したところ,こう切り出された。
その幹部によれば,この10年間,大規模な基幹系システムの開発がめっきり減り,その代わりに保守開発や中小規模のWebシステム開発が増えた。そのために,「特に若手のSEが設計にかかわる機会が減少し,設計スキルの低下が目立つようになった」(同氏)と言うのだ。
設計作業は本当はとても泥臭くて、面倒なもの。人との軋轢も少なからず生じるので、現代社会では疎まれてもおかしくはないと思っています。設計とは何か? を問われたら、「ユーザ要件を取り込んで、予算や期間、技術レベルを考慮して最適な製造物イメージを提供するための青写真を作り上げること」と言われれば納得する方も多いでしょう。
ただ、ここには”職人”ならではの配慮がなされていなければならないのです。そもそも設計時点で、開発効率やバグ発生予測、開発体制、開発に参入するSIerのスキルレベル、システム運用状況、維持管理についてしっかりと考えて作りあげられるものです。そのためには、関係する人たちとの人脈や信頼関係なくしては最高のシステムは設計できません。
ところが、若い人たちはITスキルのみに注目しがちです。プログラミング&単体テスト前後の部分に思いっきりフォーカスしていて、ほかの部分-最も大切な部分-を無視しがちです。プログラミングは自動化される傾向にあり、中国やベトナムへのオフショアにどんどん拍車がかかるでしょう。こんなところに力を入れて、スキルを誇ってもダメです。
ベテランや先人たちのスキルや知識をしっかりと学び取ることです。アカデミックな開発論を身に付けるのもいいでしょう。プログラムは適当にやっても動くのです。しかし、本当に素晴らしいプログラムはどんな状況でも動き続けますし、不測の事態をロジックではじきます。これは設計は成せる業です。 システムマニュアルを読まない人が多くなりました。これも大きな原因なのでしょう。
もっとも、中堅以上の人たちも開発スケジュールに追われて”きれいごと”など言ってられないという方々も多いでしょう。しかし、このような組織は大トラブルの前に必ず滅んでいきます。
若手や中堅と言われている人たちは、間違いなく業界の中心にいますし、この存在なくして成り立たないことは明白な事実です。しかし、だからこそ、自分の目指すべき道や目標をしっかりとたてて、キャリアデザインしていきましょう。
私はそのお手伝いをすることを仕事にしており、何よりも生きがいと感じています。このblogを立ち上げたのもこのためでもあります。
システム開発/設計に王道なし。
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