ZOOMはもともと無味乾燥で、機能的なテレビ会議システムから進化したもの。それがデジタル世代に合うように感覚的にも馴染んで使いやすいように手が加えられて、今のような形になってきた。
ZOOMの生い立ちと背景にある設計思想
つい最近まで知らなかったのですが、Zoomのエリック・ユアンCEOはもともとWebExの創設者で、コミュニケーションインフラをさらに進化させたいという思いでZOOMを開発したそうです。
当時のWebExは、PowerPointなどの資料をオンラインで共有することに重点をおいていた。しかしユーザーはテレビ会議の画像や音声の品質向上を求めていた。だから資料共有を主眼にしたコラボレーションソリューションではなく、顧客のニーズに的確に応えられる新たなソリューションを提供する必要があった。
映像や音声の品質をあげ、そして参加者とのコミュニケーションツールも充実させることで、だんだんと研修やセミナーにも耐え得る「インフラ」に進化していった。
であれば利用者、少なくとも主催者はPC付属の簡易マイクからコンデンサーマイクへと持ち替え、簡易型のWEBカメラから質の良い光学レンズを持ったカメラへと持ち替えること、これがZOOMの設計思想に適しているということになります。
音声のグレードアップはかんたん
接続がかんたんなマイクの質をレベルアップすることはそんなに難しいことではありません。できればデジタル・オーディオ・インターフェースごとレベルアップしてしまうと、新たに発生するであろう細かな悩みも少なくなります。
映像のグレードアップはハードルが高い
一方、映像のレベルアップはデジタル技術の知識が必要になり一筋縄にいかず、今の段階ではハードルは高い。
しかし、時代はフォトスタジオがデジタル化されていく流れがずいぶん前からあります。一昔前にEOS 7D で商用映画を作ってしまうなんて話もありました。それにカメラを買うと必ず高性能なスタジオソフト(オリンパスだとOlympus Capture)が無償でついてくる。
一眼カメラのレンズはとてもきれいな画質だし、ズーミングや被写界深度など画角のコントロールができれば研修やセミナーも訴求力が高くなるのは間違いない。
ではどうやって高いハードルを乗り越えればよいのか? 実現のために工夫をこらしている先人たちの知恵がありましたので紹介します。
大きく分けて以下の2つがあります。
ソフトウェアを活用する
感覚的にいうと、デジタルカメラをコンピュータに「外付けで追加したもうひとつのWEBカメラ」と認識させて、コンピューター内部でZOOMとつなげてしまおう、という活用方法です。
ていねいでわかりやすい記事を紹介します。映像の専門家だけあってとても美しい構成です。ここで使用しているカメラはキヤノンとオリンパスのもの。
雑誌記事もありましたので初回します。ここで使用しているカメラはキヤノンとソニーのもの。
ハードウェアを活用する
一言でいうと、放送局のようなスタジオをつくる、という活用方法です。別々のアングルで設置したHDMIで接続された複数のカメラをスイッチャーで切り替えながら、コンピューターが処理しやすい形で映像信号を送る、というもの。
このメーカーサイトがわかりやすいので紹介します。
手の届く価格で高性能な機材が提供されているのに驚きました。また、DaVinci(ダ・ヴィンチ)という映像制作ソフトも提供しており、まさに映像の総合デパートという感じです。
日本からはローランドから同様の製品が提供されていますが、プロ仕様となっているため高価なので手が出しにくい。
気軽に試すというものではありませんが、用途やお財布事情と相談しながら自分にあったものを購入して、少しずつ拡張していくことになります。幸いなことに機器を接続する規格(インターフェース仕様)はすでに統一されているので、技術面での深刻な悩みはないはずです。
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