”日本人の行動特性”と”米国の行動特性”を比べるとき、古い観念を持ち出してしまうことがよくあります。
日本人は勤勉で、組織のために私を犠牲にする、阿吽の呼吸、個人主義ではなく家族が基本、組合が個を守るなどなど。身の回りを見渡せば、どれもすでに過去の遺物になっているように感じます。今では、マニュアル文化すら崩れつつあります。
このような状況ではQCサークルは成り立たず、シックスシグマなんて夢のまた夢でしょう。自主性と倫理、”ある程度”の自己犠牲を伴うから、微妙なんでしょうね。あるいは、昔は、”QCサークルに参加しないと昇格や昇給に響く”という暗黙の了解もあったのかもしれません。形ばかりの成果主義が進んでいるので、目前の業務効率に直接関係するものでなければ、息の長い活動は行われないことが多いのもQC活動を難しくしているように思います。
自主的な気持ちにせよ、組織からの圧力にせよ、組織への求心力が品質改善の基本となることは間違いありません。
米国で品質改善運動が成功したという事例がありましたのでご紹介します。
このレポートで「どれ1つとっても、日本企業には当たり前に見える。」という文には少し違和感を覚えますが、興味深いきじです。
■いいとこ取りの「リーン・シックスシグマ」は泣ける?[日経情報ストラテジー記者]
米国で導入企業が増えつつある業務改革手法「リーン・シックスシグマ」。これは、トヨタとゼネラル・エレクトリック(GE)が実践する2つの手法を足し合わせたものだ。日米を代表する優良企業のいいとこ取りを狙う。この新手法の威力を多角的に検証するためのヒントを得ようと、冒頭の講演を見に行ったのである。
現時点でリーン・シックスシグマを採用している企業の大半は、米国のシックスシグマ実践企業である。ゼロックス、ハネウェル、デル、スリーエムなど蒼々たる顔ぶれ。GE自身も、自社のシックスシグマを新手法に進化させるのに余念がない。
シックスシグマを実践する米国企業の経営者はやがて壁に突き当たった。シックスシグマは優秀な人材(つまり人件費が高い人材)が牽引する期間限定のプロジェクト活動なので、現場の小さな課題までは手がまわりづらい。その結果、改善活動が部分最適に陥る可能性もある。この弱点を補うべく、トヨタ流改善手法を組み込み始めた。
トヨタ流改善手法は、あらゆるムダをなくすべく、日々繰り返される現場の改善活動がベースとなる。もちろん、導入当初は一大プロジェクトとしてスタートするだろうが、期間限定の改善活動に留まるようではトヨタ流の真価は発揮されない。現場が自発的に改善を重ねていくようになることが、トヨタ流の本質である。
だから、トヨタ自動車には社員一人ひとりの問題解決能力と改善意欲が高まるような様々な仕掛けがある。その一例は、長期雇用を保障する、非公式なものを含めて社内・部内イベントが多い、チームワークを重視する、先輩が後輩を積極的に指導するといった具合だ。どれ1つとっても、日本企業には当たり前に見える。だが、成果主義や電子メールの浸透などによって、日本企業ですらこうした仕組みが薄れてきてはいないだろうか。
マニュアル通りに与えられた仕事だけこなすことを良しとする風潮が強い米国で、まるで日本人のような行動をとった米国人の様子に胸がじんとした。はたして、リーン・シックスシグマはこの域まで進化するものなのだろうか。可能性は否定できない。
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