アジャイルという言葉を聞く機会が増えた。ただ残念なことに大きく誤解されているように思う。「アジャイル」=「急いで」という、まったくの筋違いで語る経営層も少なくない。人事制度「成果主義」が日本に導入されたとき、「成果主義とは結果のみで評価する会社都合の制度だ。日本にはふさわしくない」と言われ続けた頃と酷似している。
そもそもアジャイルとは2001年に生まれた概念で、日本に「逆輸入」されたのは2010年。ここで「逆輸入」と言っているの、先端を走っていた頃の日本企業をモデルに再構築した概念だから。
アジャイルソフトウェア開発宣言の冒頭の一節を引用するとその誤解は解けると思う。
プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを
認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。
つまり、「個人と対話」「動くソフトウェア」「顧客との協調」「変化への対応」を優先したいということ。この考え方がDevOpsへとつながっていく。
さらに『アジャイルソフトウェアの12の原則』が続く。
大切なことですので、長めに引用します。(ただし、改行は修正、アンダーラインを付加)
顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します。
要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します。変化を味方につけることによって、お客様の競争力を引き上げます。
動くソフトウェアを、2-3週間から2-3ヶ月というできるだけ短い時間間隔でリリースします。
ビジネス側の人と開発者は、プロジェクトを通して日々一緒に働かなければなりません。
意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成します。環境と支援を与え仕事が無事終わるまで彼らを信頼します。
情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法はフェイス・トゥ・フェイスで話をすることです。
20年前の概念であり様々な技術やツールが発達してきた現在からすると、変えなくてはならない要素もありそうですが、骨格となる真髄は変える必要はないと思います。
ビジネスをする場合には、これを前提にして契約をしないと齟齬を生むことになる。先ごろIPAはがオープンにした取引・契約書のモデル『アジャイル開発版「情報システム・モデル取引・契約書」
~ユーザ/ベンダ間の緊密な協働によるシステム開発で、DXを推進~』を使うときには注意したい。
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